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寝台列車に乗ってブハラからヒヴァへ ベッドの上と下はどちらがいい? キジルクム砂漠の果てなき広がりに心を奪われ ウズベキスタン個人旅行 6泊8日でサマルカンド、ブハラ、ヒヴァ、タシケントの名所を制覇㉒

 6泊8日で、サマルカンド、ブハラ、ヒヴァ、タシケントを巡る個人旅行は、5日目となります。この日は早朝にホテルをチェックアウトしてブハラ駅に向かい、寝台列車に乗ってヒヴァを目指します。2025年10月の旅です。

日が昇る前の出発

 5日目 5:30 まだ夜が明けていない中、ホテルを出ます。早いです。寒いです。前日の最高気温は28度でしたが、この日の最低気温は8度。早朝が最も寒いです。昼は半袖でないと暑いくらいなのに、朝晩はユニクロのウルトラライトダウンが活躍します。気温の日較差が大きいのは、大陸の内陸国ならではです(当然ながら年較差も大きいです)。

 それにしても、なぜこんなに早く出ないといけないのか。それは、ブハラ駅を7時12分に出発する列車に乗るためです。

 ウズベキスタンにおける時間がない個人旅行の鉄の掟は、乗るべき電車に確実に乗ることです。

 「1本逃したとしても、次に乗ればいい」は通用しません。ウズベキスタンは、都市を結ぶ列車の運行本数がとにかく少ないです。日本の新幹線とは違います。万が一、予約した列車に乗れなかったら、旅の計画に大きな影響が出てしまいます。

 また、ブハラ駅は旧市街から直線距離で35㎞ほど離れています。渋滞がなかったとしても、タクシーで30~40分かかります。余裕をもって、列車が出発する1時間前には駅に着きたいとなると、このような時間にホテルを出るしかなかったわけです。


タクシーはどこから?

 ブハラ旧市街の中心部は交通規制がなされていて、タクシーは入ることができません。われわれが泊まっていたホテル マリカ ブハラも、規制区域内にあります。

 では、日が昇っていないような早朝に、どこからタクシーに乗ればいいのでしょう。そのような時間帯に、Yandexでタクシーを呼べるのでしょうか。

 ホテルのスタッフに前日に相談してみたところ、
・午前6時前であっても、Yandexのタクシーは動いている
・乗車場所はラビハウズの東側にあるY字路の合流地点がいい
 と教えてくれました。

 なるほど、いい話を聞けました。

 下のマップは、旅行記⑬で用いたものです。ラビハウズの東西で、タクシーが入ってくることができる地点を示してあります。

 ホテル マリカ ブハラの西側にも「タクシーここまで」のポイントがありますが、こちらは日中であっても人通りがそれほど多くなく、タクシーが客待ちをしている感じはありません。

 それに、ブハラ駅に行くとなると、旧市街をぐるりと迂回しなければならなくなります。下の画像は、ホテル マリカ ブハラを出発点、ブハラ駅を目的地としたときに、Yandexで表示されるルートに一部加工を施したものです。ご覧の通り、東側へ抜けるために、かなりの回り道を強いられます。

 対して、マップ上に赤丸で囲った「タクシーここまで」のポイントから乗車すれば、東に向けてそのまま進んで、すぐにYandexが示す緑色のルートに入れるのが分かるかと思います。

 というわけで、ホテルのスタッフがアドバイスしてくれた通り、ラビハウズ東側のスポットから乗るのが、いろいろな意味で都合が良いということになります。


 5:35 ホテルからスーツケースを引っ張って歩き、ラビハウズ東側の「タクシーここまで」のポイントに到着。まさかとは思いましたが、こんなに早い時間なのにタクシーが1台、客待ちをしていました。やはり、観光客のニーズは早朝でもあるということです。Yandexでリクエストを出してみると、なんとその待機していたタクシーが対応車でした。ラッキーです。すぐに乗り込むことができました。

 6:05 ブハラ駅に無事到着。6時20分ごろに着くことを目標にホテルを出たので、それをクリアできて良かったです(駅の大時計はなぜか10分ほど遅れています)。まずは一つ関門を超えました。あとは、電車が時間通りに動いて、われわれをヒヴァまで連れていってくれることを祈るのみです。


早朝でもパンは買える

 駅に着いてまず何をしたいか、というと、やはり朝食です。

 日本を出発する前、ブハラ駅に何か食べ物を扱う売店があるのか、また店があるとしても朝6時台に開いているのか、といった情報を得ていたわけではありませんでした。よって、何も買えなかった時のために、カロリーメイトや、水を注ぐだけで食べられるアルファ米をスーツケースに詰めていました。

 実際に来てみると、駅構内にはスタンドがいくつかあり、いずれも朝6時台から開いていました。こちらの店では、パンなどを売っています。


 こちらはパンとケーキ。私はこの店で大きなチョコクロワッサンを買いました。これ1個だけでそれなりにお腹が膨れたので、カロリーメイトもアルファ米も不要でした。


 駅構内に猫がいました。キジ白です。ここで朝の寒さをしのいでいるのでしょうか。カメラを構えたら、こちらに小走りで来てくれました。ブハラの猫は、本当に人懐っこいです。


寝台列車で5時間半

 われわれが乗る電車はこちらです。15分前にはホームに入ってきていました。それにしてもウズベキスタンの駅のホームは、幅が広いです。


 この列車の始発駅は、キルギスとの国境に近い東部のアンディジャンで、終点が西部のヒヴァになります。なかなかの長距離運行です。グーグルマップでアンディジャンからヒヴァまで主要都市をざっくり線で結んでみたら、合計で1,150kmくらいありました。


 では、乗り込みます。出発が7:12で、到着は12:47。5時間半の旅路です。


 サマルカンドからブハラまで乗った寝台列車もそうでしたが、今回の列車も床面がとても高いです。ホームから列車まで4段の急角度のステップがあり、ざっと70~80cmくらいの高低差があります。軽い荷物なら問題ないでしょうが、20kgぐらいのスーツケースをホームから垂直気味に引っ張り上げるのは、なかなか大変です。1人で持ち上げるのが難しい場合は、駅のスタッフや周囲の人の力を借りましょう。

 7:20 定刻から5分遅れで出発。今回の旅を計画通りに進める上で、リスクが少しばかりあると感じていたのが、まさにこの日、夜明け前にホテルを出て、列車に乗るまでの時間でしたので、ほっと一息です。


 列車内の通路です。絨毯が敷かれており、それなりにきれいに清掃されている印象でした。


上上か下下か上下か

 寝台車には、値段が安い方からSleeper、Coupe、SVの3種類があります。最も高価なSVは2人用の「個室」になります。他の2種類より快適なのは間違いありません。ただ、問題があって、それはすべての列車にSVがあるわけではないことです。

 われわれがブハラから乗ったヒヴァ行きの列車に、SVはありませんでした。

 となると、次の選択肢は、いわゆる2段ベッドが並べて置かれたような「4人部屋」のCoupeになります。2人旅であれば、見ず知らずの2人と同じ空間を共有することになります。

 そこで悩むのは、上と下のどちらの寝台がいいのか、ということです。

 2人旅であり得るのは、以下の3パターンです。

 ⑴ 2人とも上
 ⑵ 2人とも下
 ⑶ 1人が上で、もう1人が下

 それぞれメリット、デメリットを考えてみます。


通路の上は「物置きスペース」?

 まず、2人とも上のパターンです。

 メリットとして考えられるのは、自分たちの方が振動などの影響を及ぼし得る立場なので、たまたま「同部屋」となった相手のマナーの悪さなどに煩わされる確率が少しばかり下がる、ということでしょうか。2段ベッドにおける不変の構図です。

 上にあって下にないもの、という意味でいうと、上には「物置きスペース」があります。下の写真を見てください。写真上部の左側に黒っぽいものが見えるかと思います。これは上の人の靴です。なぜここに靴があるのかというと、列車の通路の上(赤丸の部分)が「屋根裏」のような空間になっていて、ここに簡単な荷物を置くことができるのです。

 上に上がって自分の目で見たわけではないので、このスペースに通路の幅と同じだけの奥行きがあるのかは分かりませんが、写真を見る限り、ナップザックぐらいは置けそうな感じはします。

 一方で、デメリットもいろいろ考えられます。重いスーツケースを運び上げることはできないので、下に置かせてもらうことになります。どうしても無防備になってしまうので、そばで見ていないと不安という人からすると、厳しいものがあるでしょう。お手洗いに行く際に、面倒なのも上の寝台です。

 また、温かい空気は冷たい空気より軽いので上にたまります。ウズベキスタンの夏は酷暑で知られますが、ネット上には「電車内にクーラーが利いていなかった」という情報も散見されます。その際、車中で暑さをより感じるのは、上の寝台ということになるでしょう。


テーブルと車窓の景色は加点ポイント

 次に、2人とも下のパターンです。われわれは、これでした。

 メリットもデメリットも、基本的には上上の逆になります。上にとって良い点は下にとってはマイナスだし、下の利点は上の減点部分になります。

 こちらの写真を見てください。これは私が自分の寝台から撮ったものです。上の外国人が寝台に座って、下に足を投げ出しています。足を伸ばしてリラックスしたかったのか、血の巡りをよくしたかったのか、何が目的なのか知りませんが、乗車中に何回かこうして空中でぶらぶらさせていました。こちらに実害はないとはいえ、気分がいいものではありません。下の寝台だと、こういうことがあり得るということです。


 下の特典としては、テーブルがあります。車中で何かを広げて食事をしたかったら、やはりテーブルがある下の方がいいでしょう。そして、窓外に流れる景色をずっと見ていられるのも下の特権です。


上下は理想的な組み合わせ?

 最後に、上下のパターンです。

 これは、上上、下下の合わせ技になるので、考えようによっては一番いいとも言えます。パスポートや財布などの貴重品が入ったバッグは、上の寝台に置いておき、スーツケースは下の寝台の人が見ておけば安心です。必要とあれば、テーブルも代わる代わる使うことができます。

 また、たまたま一緒の「部屋」になった見知らぬ乗客とおしゃべりしたい、という人にとって、自分と同じ目線の高さに相手がいるので、そのチャンスは上上や下下よりあると言えます。

 ただ、そういう異国間交流のようなものは求めておらず、むしろ回避したい人たちにとって、上下は理想的な環境とはならないでしょう。

 結局のところ、100点満点の組み合わせはないので、何を重視するかによって決めるほかないかと思います。

 われわれは、下下か上下かで悩みました。最終的に、お互いの顔もスーツケースも常に横で見ていられるという理由で、下下を選びました。


車窓を流れる砂の世界

 ブハラーヒヴァの列車移動には、タシケントーサマルカンド、サマルカンドーブハラの両区間にはない魅力があります。それは砂漠の景観です。

 ブハラ駅から出ると、しばらくは民家や工場などが見えています。


 しかし、すぐに褐色の世界に変わります。キジルクム砂漠です。


 キジルクム砂漠は世界で16番目に広い砂漠とされ、その範囲は、アム川とシル川という大河に挟まれた「マー・ワラー・アンナフル」と呼ばれる地域とほぼ重なります。歴史的にソグド人やイスラム、モンゴル帝国など、さまざまな勢力がこの地を行き交い、時に争いの舞台となってきました。

 シルクロードを行く隊商たちは、どこかで水を切らしてしまうかもしれないという命の危険を常に身近に感じながら、このような乾ききった広大な大地を横断していたのです。想像するだけで身震いしてしまいます。


 ヒヴァの街が近づいてくるにつれ、綿花の畑が見えるようになります。

 この地域の綿花と言えば、アム川の灌漑は避けては通れない話です。旧ソ連時代、綿花の大規模栽培をするためにアム川から大量の水を引いたことで、アム川が流れ込むアラル海は水位が下がり、徐々に干上がっていきました。アラル海はかつて約68,000㎞2で世界4位の面積を誇る巨大な湖でした。東北6県の合計と同じくらいの広さです。それが、現在では10分の1、およそ7,000㎞2まで縮小しています。宮城県くらいの面積です。つまり、青森・岩手・秋田・山形・福島の5県分の広さの湖沼が丸ごと消えたことになります。あまりの惨状に「20世紀最大の環境破壊」と言われています。

 アラル海を巡っては、ヌクスという街の発着で見学ツアーが催されています。もっと長くウズベキスタンに滞在できるのであれば参加してみたかったのですが、何せ6泊8日の忙しい旅です。とてもそんな時間はありません。


はるばる来たぜ ヒヴァの街

 12:55 予定より8分ほどの遅れで、ヒヴァ駅に到着。いやぁ、着いた着いた。ブハラとヒヴァは直線距離で400㎞。ちょっとした達成感があります。


 ヒヴァ駅の構内です。広くはないですが、改装されたようで、どこを見てもきれいです。


 駅の外観です。街の規模だけを見たらサマルカンドやブハラよりずっと小さいですが、駅の構えはそれらに勝るとも劣らないほど立派です。


 駅前はこの通り、何に使うのか分からないくらい広い空間になっています。


Yandexは使えそうだったけど…

 駅構内のお手洗いに行って、ベンチで10分ほど休憩した後、外に出たのですが、驚くべきことに人の姿がほとんどありません。あれだけ多くいた列車の乗客たちが、きれいに消えていました。こんな短時間で、みんなどこへ? タクシーも見当たりません。

 とりあえず、Yandexアプリを開いてみます。駅周辺には、Yandex対応車が数台うろついていました。ヒヴァでもYandexが使えるようになったという情報をネットで事前に見ていたのですが、それは正しいのではないかと感じました。

 しかし、配車リクエストを出しても、一向にマッチングしません。たまたまやる気がない運転手しか周囲にいなかったのか、ヒヴァにおけるアプリの機能に問題があるのか、それともほかの理由があるのか、詳しいことは分かりませんが、何度試してもうまくいきません。らちが明かないので、Yandexは諦めました。

 ではどこでタクシーを捕まえようかと思案し、駅を出て向かって右手(方角で言うと北)の駐車場の方に行ってみました。下のマップで黄色い線で囲ったあたりです。すると、車を止めて、たむろしている3人の運転手の姿が目に入りました。とりあえず一安心です。


タクシー運転手との初交渉

 こちらが近づいていくと、ちょっと柄の悪そうなおっちゃんが話しかけてきました。予約しているイチャン・カラの宿を告げて値段の交渉をします。今回のウズベキスタン旅行において、タクシー運転手との初交渉にして、唯一の交渉でした。

 おっちゃんが求めてきたのは、30,000スムでした。駅からイチャン・カラの中心部まで1.5km程度の距離しかないことを考えると、なかなかふっかけてきている感じです。周囲に他にタクシーが見当たらないから、足元を見られた面もあったかもしれません。

 30,000スムと言ったって、400円程度のものだから、文句を言わずに払ってもいいのです。長々とやり取りすると、時間を無駄にもしてしまいます。ただ、そのまま相手の言い値を受け入れてしまうのも、軟弱な旅行者っぽく見られそうで癪でしょう。

 そこで、25,000スムで成立させることを念頭に、まずは20,000スムを提示します。案の定おっちゃんが難色を示したので、こちらから25,000スムに引き上げて折り合いました。

 Yandexに慣れてしまうと、こういうやり取りが面倒に感じてしまいます。交渉事は本来であれば旅の一部であり、楽しむべきものなのかなとも思うのですが、人間はやはり楽な方を求めてしまうものです。旅行者にとって、Yandexは、やはり偉大なアプリだということです。

 13:30 ブハラのホテルを出て8時間ほど。イチャン・カラの宿に到着しました。タクシーはイチャン・カラ内に入ることができるので、宿の目の前で降ろしてもらえます。

 泊まるのは、ナジーラ ブティックホテル&テラス(Nazira Boutique Hotel & Terrace)です。チェックインして部屋を少し見てから、街歩きに出ます。

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