ラスベガス発着でグランドキャニオン、アンテロープキャニオン、ホースシューベンド、パウエル湖を巡る1日ツアーに参加してきました。ネバダ州、アリゾナ州、ユタ州の3州を走るスケール感の大きいツアーで、とてもコスパとタイパのよいものでした。どういった時間配分で、どのように巡ったのか、詳細をお伝えします。(2026年5月の話です)
夜明け前の集合
こちらのツアーの何がすごいって、一にも二にも所要時間の長さです。集合は午前5時15分で、解散予定は午後11時。およそ18時間かかります。なかなかお目にかかれないレベルでの弾丸っぷりです。
主催は某V社。効率よくあれこれ見たいこちらの意をくんでくれたかのようなツアーをよくぞ企画してくれた、と思いきや、ラスベガス発着のグランドキャニオンを巡る1日ツアーは、どこも概ね似たようなスケジュールを組んでいるようでした。移動距離が長いので、どうしてもこうなってしまうようです。
ベラージオの地下ツアーロビーへ
4:50 宿泊しているホテルを出発。集合場所である高級ホテル「ベラージオ」の地下ツアーロビーに歩いて向かいます。ご覧の通り、夜明け前です。

こちらはベラージオの地下ツアーロビーです。写真は前日に撮影したものです。当日の早朝に迷って遅刻しないように、確認の意味で訪れていました。複数台の大型バスが同時に発着できる十分なスペースが備えられています。ベラージオ以外の宿泊者も利用できるようになっています。さすがはラスベガスを代表するホテルです。

ゴールデンウィーク仕様の大型バス
5:15 こちらのバスで出発です。普段このような大型の車両は使わないらしいですが、何せ主催は日本の会社で、そして日本はゴールデンウィークの真っただ中です。参加者が通常時より多いため、大型バスの手配に至ったとのことでした。

このツアーに参加するにあたって、個人的に一番心配だったのは、トイレの問題です。長距離移動中に行きたくなったらどうしようか、と誰しも頭をよぎるのではないかと思います。
今回はこのような大型バスで、最後尾にはトイレが備え付けられていました。ゴールデンウィークの参加で、その点では、運が良かったと思います。結果的に車内のトイレを利用することはなかったのですが、あるとないのでは大違いなので、安心感はありました。
車窓から。夜が明けていきます。

ガイドさんの説明
バスには、ラスベガスのツアー会社から日本人のガイドさんが乗車します。そして、バスでの移動中、いろいろな説明をしてくれます。ラスベガスの街のこと、アメリカでの暮らし、グランドキャニオンの成り立ちなどなど、職業としているのだから当たり前だと言われそうですが、なかなか勉強されていて、興味深い話をいくつも聞けました。
ただ、早朝出発でみんな眠いのは分かっているので、しゃべりっぱなしというわけではありません。しばらくすると、マイクを置く配慮があります。そこからは昼寝ならぬ朝寝タイムになりました。
フーバーダムと巨大なミード湖
出発して40分ほどで、車窓からミード湖が見えました。コロラド川に設けられたフーバーダムによって誕生した人造湖です。人造湖として貯水量は全米1位、面積は2位です。最大貯水量は350億m3で、日本のすべてのダムを足し合わせた量(=204億m3)を上回ります。面積は琵琶湖よりわずかに小さいくらいです。日本の感覚からするととんでもないサイズですが、これでも貯水量ベースの世界ランクでは28位に過ぎないとのことです。

ちなみに、フーバーダムといえば、1929年の世界恐慌の折、フランクリン・ルーズベルト大統領のニューディール政策によって完成したダムとして歴史の教科書にも登場します。そのため、世界的にも知名度の高いダムと言えるかと思います。
こちらがダムから流れ出しているコロラド川です。

日が昇った後も、このような荒涼とした岩石砂漠の中を走ります。

セリグマンにて休憩
8:30 出発から3時間弱で、最初の休憩地であるセリグマンに到着です。シカゴとロサンゼルスのサンタモニカを結んでいた旧国道「ルート66」沿いにある町で、古き良き趣きが残っていることで知られています。

こちらの店の駐車場が休憩ポイントになります。

お手洗いは店内にありました。利用するにあたって、店の人に断る必要はありません。こちらの店は、日本の高速道路でいうサービスエリアのような使われ方をしているようでした。店側もトイレ休憩で立ち寄ってもらって、何かしら買ってもらえばありがたい、といったところなのでしょう。清掃は行き届いていました。

店内です。ファストフードを提供するカウンターがありました。

コンビニ並みに飲食物はそろっています。ラスベガスのど真ん中と比べたら、明らかに安かったです。

映画「カーズ」のモデル
セリグマンはピクサー製作、ディズニー配給のアニメーション映画「カーズ」に登場する架空の街「ラジエーター・スプリングス」のモデルとなった町の一つとされています。こちらの店では、このように壁画が描かれており、みんな写真撮影をしていました。

カーズの公開は2006年で、その後、続編やスピンオフ作品が公開されています。アナハイムにあるディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー・パークでは、カーズの「ラジエーター・スプリングス・レーサー」は一番人気のアトラクションになっています。そんなわけで、この小さな町には今も少なからずカーズの恩恵がもたらされているのではないかと想像します。

「ルート66 生誕の地」という看板も出ていました。ルート66は、1926年に国道として指定され、1986年にその役目を終えたとして廃線(国道としての指定解除)になっているのですが、現在では沿線住民が「歴史的街道」として価値を訴えて、さまざまな発信を行っています。その火付け役になったのが、セリグマンの住民だったため、ここは歴史的街道としての「ルート66」が生まれた場所になったのです。

店の裏手の風景です。高い山がない開けた土地で、すぐそばに鉄路が敷かれています。これはかつてのアッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道(通称サンタフェ鉄道)の線路で、シカゴとロサンゼルスを結んでいます。現在はBNSF鉄道(バーリントン・ノーザン・サンタフェ鉄道)の線路となり、貨物列車が走行しています。

グランドキャニオンの絶景
10:20 出発から休憩を挟んで5時間弱、グランドキャニオンの入り口に到着しました。寝ている時間が結構あったので、思いのほか早く着いた感じがしました。

V社のツアーでは、グランドキャニオンのマーサーポイントとデザートビューポイントの2カ所を訪れます。いずれもグランドキャニオンを代表する景観として知られています。
壮大すぎるマーサーポイント
まずはマーサーポイントからです。バスを降りると、このような記念撮影スポットがあります。みんなこの碑の後ろに立って、ガイドさんに撮ってもらっていました。

場所はこちらです。
バスの停車場から、このような道を進みます。緑がそこそこあるのが意外でした。

駐車場から歩いて3分ほどで、着きました。こちらがグランドキャニオンのマーサーポイントです。

分かってはいましたが、圧倒的な景観です。とにかくでかい、スケール感が半端ない、どうやってこんな渓谷ができたんだ―。実際にこの景観を見た人であれば、単純にそんな思いに駆られるはずです。ある意味、感想が平凡なところに行き着いて、似通ってしまう。それこそが、グランドキャニオンのすごみを表しているような気がします。
写真で見るより、実際に自分の目で見る方が、威圧感のようなものを感じます。高度感がより分かるし、地平線の先まで続く渓谷の広さがより分かります。

「マーサー(Mather)」という名称は、アメリカの国立公園局の初代長官で、国立公園の保護と観光開発に携わったスティーブン・マーサー(Stephen Mather、1867-1930)に敬意を表して付けられました。
渋谷から明石の間が全て峡谷?
マーサーポイント付近において、峡谷の最大幅は19㎞くらい、川底までの最大高低差は1,370mとのことです。

ちなみに、グランドキャニオンの峡谷全体の長さ(=東西への広がり)は446kmとされます。想像を絶します。
日本の国土にあてはめてみましょう。谷の地形つながりで東京・渋谷を起点に446km離れると、兵庫県明石市にたどり着きます。渋谷から明石がすべて峡谷です。
サウスリムとノースリム間の最大幅(=南北の幅)は、29kmくらいです。渋谷駅から直線で29kmの位置にあるのは、横浜市の磯子駅や習志野市の津田沼駅になります。関西でいうと、大阪駅と神戸駅も直線距離でちょうど29kmです。
峡谷全体の面積は4931km²とされ、これは福岡県と同じくらいの広さになります。
そのような規模で峡谷が広がっているのです。想像を絶します。意味が分からない規模感です。
部分的に見えるコロラド川の流れを、手持ちのカメラで望遠を最大限まで伸ばして撮影してみました。川は展望ポイントから距離的にかなりあるものの、肉眼でも確認できます。グーグルマップで川までの距離を測ってみたら、約4.1kmでした。

リスがいました。

マーサーポイントでの滞在時間は、30~40分ほどだったかと思います。駐車場を離れたら、自由行動です。お手洗いはあります。土産物を扱うショップは、こちらにはありません。
川の流れが見えるデザートビューポイント
次はデザートビューポイントに向かいます。場所はこちらになります。デザートビューポイントは、マーサーポイントから東へ、直線距離で25kmほどのところにあります。
マーサーポイントからデザートビューポイントに向かうバスの車窓から。

こちらがデザートビューポイントからの眺めになります。最大の特徴は、コロラド川の流れがよく見えることです。ここがマーサーポイントと比べて異なる点です。川まで約5.5㎞です。4.1㎞ほどのマーサーポイントより距離はありますが、河床周辺が展望ポイントがある南側に向けて広く削られているので、このように開けて見えるのです。

望遠を伸ばして撮ってみました。

手持ちのカメラの望遠を限界まで伸ばしたら、このような感じで撮れました。

川の方にせり出した観賞ポイントは、このように柵が設けられています。

ウォッチタワーからの眺めは?
デザートビューポイントには、マーサーポイントにはない長所が二つあります。一つは飲食物を提供する店や土産物を扱うショップがあること、もう一つは峡谷を眺めるための観光用の塔があることです。
こちらが塔になります。正式名称は「デザートビュー ウォッチタワー」です。千年以上昔の遺構のようにも見えますが、完成したのは1932年です。高さは約21m。設計者はメアリー・コールターという女性建築家です。

塔そのものは鉄骨とコンクリートでできているのですが、外壁にはグランドキャニオン周辺で採取した砂岩を張り付けているのだそうです。イメージしたのは、周辺に住んでいた先住民族プエプロ族の遺構で、崩れかけているようなデザインも意図したものだということです。
塔の内部です。あえて質素につくった外観同様、過度な装飾がないシンプルな円形の空間になっています。周囲に窓がいくつも設けられているので、想像以上に明るいです。

さて、塔からの眺めがどうだったのかについてですが、実はわれわれは見ることができませんでした。というのも、塔は土台の直径が9mほどで広くないので、多くの人が同時に上がることはできません。そこで、時間指定の仕組みが設けられています。上の写真左手、窓際のデスクに男性が映っていますが、塔に登りたい人は、こちらで予約をしなければなりません。
時間がなくて
問題は、われわれが団体のツアー客で、時間の自由がなかったということです。塔に着いたのは午前11時50分ごろ。しかし、タワーに最速で上れる時間は午後0時40分で、われわれはバスに午後0時30分に戻らなければなりませんでした。
こればかりは仕方ありません。団体ツアーの宿命です。
もっとも、上から見ても、それほど印象の違いはなかったのではないかと想像します。こんなことを言うと、タワーの関係者らに怒られるかもしれませんが、グランドキャニオンはあまりにも大きすぎます。20mくらい高いところに上がって眺めても、それはわずかな誤差の範囲に収まってしまう気がします。
ショップで売られている土産物は
ショップを見ていきます。デザートビューポイントでは、3店で土産物類を扱っています。
タワー内はマグネットに注目
こちらは、ウォッチタワー内にある土産物店です。Tシャツやパーカー、タオルなどがあります。

土産物の定番、マグネットです。他の店でもマグネットの扱いはありましたが、個人的にはこちらのデザインがいいと思いました。

民俗人形に感じる誇り
こちらは駐車場とタワーの中間辺りにあるショップの「デザートビュー・トレーディングポスト」です。

店内です。こちらは先住民族のナバホ族がつくった民俗人形です。値札には、作り手の顔写真がわざわざ印刷され、名前も書かれています。土産物に関する作り手の見える化って、なかなか珍しい気がします。先住民族の誇り、気概のようなものを感じます。

この人形はカチナドール(Kachina Doll)といいます。もともとは、ナバホ族と同じ先住民族のホピ族の信仰を形にしたものです。精霊の姿や役割を子どもたちに教えるために作られたとされます。
そのホビ族の人形をなぜナバホ族が作っているのかというと、ホピ族は1本の木から切り出して人形を作るため、大量生産することはできません。加えて言うと、人口規模も違います。ナバホ族が40万人強で、ホピ族は1万4千人くらいとされています。そこで、互いの文化的交流があり、人手も多くかけられるナバホ族が、簡易的なカチナドールを作り始めたとのことです。
ホピ族が作る人形も売られています。ご覧の通り、完全に木彫りです。コットンウッドという木を用いています。かなり精緻です。手が込んでいる分、上の写真の人形より値段は高いです。おおむね倍くらいです。

マグネットとマグカップです。

ジョッキグラスです。右手はスマホに付けたりするオーナメントでしょうか。

こちらの店にもTシャツがあります。

店の看板に「snack bar」と書かれていましたが、それはこちらのコーナーです。スターバックスのロゴが見えます。これは「We Proudly Serve Starbucks」というライセンス制度で、厳密にはスタバの店ではありません。スタバが豆や機材を提供して、スタバ同様の味を楽しめるようにしているフランチャイズ店のような仕組みです。

駐車場の最寄りにデリあり
最後にもう1店、「デザートビュー・マーケット&デリ」です。最も駐車場寄りにある店になります。

店内です。Tシャツやマグカップが売られています。

その名の通り、デリが設けられています。

3店の土産物を見て、秀逸だと思ったのは、民俗人形です。先住民族が自ら手掛けており、伝統が息づいています。その土地ならではのものを買うというのは、やはり旅行の醍醐味の一つです。
2地点だけの訪問で十分?
今回のツアーにおけるグランドキャニオン観光について振り返ってみましょう。
まず、訪れたマーサーポイントとデザートビューポイントについてです。
グランドキャニオンを代表する展望ポイントとあって、いずれも文句なしにすごいです。とりあえず、この2地点を抑えておけば、グランドキャニオンについて語ることはできると思います。

他の展望ポイントを見たかったら
ただ、グランドキャニオンには、ほかにも素晴らしい展望ポイントがいくつもあります。もっと見てみたいという人にとって、2か所だけでは物足りなく感じるかもしれません。もちろん、われわれも可能なのであれば、3、4カ所くらい訪れてみたいとは思いました。
加えて言えば、一つの展望ポイントに使える時間は、40~50分くらいです。十分な時間とは言えないかもしれません。特にショップがあるデザートビューポイントは、買い物までしようと思ったら、少し忙しいです。
どうしても時間がネックに
しかしながら、グランドキャニオン、アンテロープキャニオン、ホースシューベントを1日で巡るツアーにおいては、どうしても時間がネックになります。
そうなると、グランドキャニオンで現実的に訪ねることができるのは2地点程度になり、各展望ポイントで使える時間はどうしても1時間未満になってしまうということかと思います。似たようなツアーを催行している会社はおおむね、マーサーとデザートビューの2地点を訪問ポイントにしており、3地点以上を巡るものは珍しいようです。
もしグランドキャニオンにもっとどっぷり浸かりたいという人は、プライベートツアーの催行業者に依頼するか、自分でレンタカーを借りるなどして訪れる必要がありそうです。

ロウアーアンテロープキャニオンは想像以上
グランドキャニオンに続く目的地は、アンテロープキャニオンです。アンテロープキャニオンにはアッパーとロウアーと二つの渓谷がありますが、われわれが参加したツアーでは、ロウアーを訪れました。
12:40 バスに乗ってグランドキャニオンを出発です。このツアーでは、レストランで食事を時間は設けられていません。それくらいタイトに詰め込まないと、ラスベガスに帰ってくるのが深夜0時を過ぎてしまいます。
バスの中で昼食
そこで、グランドキャニオンの観光後、アンテロープキャニオンに向かう車内で、弁当が配られました。 御覧の通り、ラスベガスで経営されている日本の居酒屋がつくった弁当です。

中身はこのような感じです。おにぎり二つに唐揚げ、卵焼きに漬物といったところです。日本の味はやっぱり落ち着いて食べることができます。ただ、それほど大きな弁当ではありませんでした。加えて言うと、夜食はツアー会社からの提供はありませんし、レストランで食べるための時間は昼食同様、設けられていません。というわけで、われわれは足りない分に関して、自分で持ってきておいた携帯食をバスの中で食べました。トイレ休憩ポイントなどで何かを買って車内に持ち込んでいる方も結構いました。

車窓からの景色です。

2時間かけて到着
14:40 グランドキャニオンから2時間弱で、ロウアーアンテロープキャニオンに到着しました。アンテロープとは、ウシ科のグループであるレイヨウを指します。ウシ科において、ウシ、ヒツジ、ヤギ以外の細身の動物が、ざっくりレイヨウに含まれるようです。この辺りにレイヨウと似た生き物が多く生息していたため、そう呼ばれるようになったといいます。厳密にはプロングホーンというウシ科ではない動物だったのですが、名称はそのまま生き残ったとのことです。

場所はこちらです。グランドキャニオンのデザートビューポイントから、直線距離で100kmほどのところにあります。
アンテロープキャニオンでは、ナバホ族のガイドが案内します。ガイドなしで入ることはできません。予約制で時間が決まっているので、周辺で待機します。

このゲートの先に進むと、入り口があります。

時間が来たら出発です。帽子をかぶって先頭を歩いている男性は、ナバホ族のガイドです。峡谷内は狭いので、1グループ20人ほどに絞って巡ることになります。われわれバスツアーの参加者は、2グループに分けられました。

この斜面を降りていきます。

自然が生み出した驚異のアート
さて、峡谷の内部に入ります。最初に垂直に近い階段を11メートルくらい降りることになるので、注意が必要です。しっかり両側のバーをつかんで、足を踏み外さないように一歩ずつゆっくりと降りましょう。

谷底に降り立つと、そこは完全に異世界です。何も知らないで写真を見ると、ここは緻密につくりあげられたテーマパークのアトラクション内で、本物の岩場だとは思わないかもしれません。自然が生み出したものなのに、自然な感じがしません。驚くべき地形です。

峡谷内には同じ造形が二つとないので、どこをどう撮っても絵になります。

峡谷内には一部アップダウンがあり、こうして途中で階段を上ります。

縦向きに撮ってみました。こんな滑らかな流線形に削られた谷が、実際にこうして存在するのです。

人1人がやっと通れるくらい狭まっているところもあります。

ここまで来ると、もはや自然がつくりあげたアート作品です。

鍛え上げた人間の腹筋のような造形です。陰影が美しく浮かび上がります。

折り重なるような岩の隙間から空がのぞきます。

渓谷内はこのくらい幅が狭いです。場所によっては1mもありません。

出口に来ました。ご覧のように、このくらい細い所を通り抜けて、地上に戻ります。

入り口に戻ってきたら、ガイドにチップを渡しましょう。1人3~5ドルが相場とされています。
目の前にある造形美
ロウアーアンテロープキャニオンの美しさは、想像以上でした。なんとなくこのような感じだろうという想定を超えてきたという意味では、グランドキャニオン以上だったかもしれません。遠景を眺めるグランドキャニオンに対して、岩の造形がすぐ目の前にあるという点において、より強烈な印象が残った面はあったでしょうが、それにしてもインパクトがありました。
驚くべき均一な黄土色
アンテロープキャニオンは、極めて狭い峡谷を指す「スロットキャニオン」という地形に分類されます。岩場の亀裂に大量の水が押し寄せて、削られることによって生まれます。
スロットキャニオン自体は、それほど珍しいものではありません。アメリカのコロラド高原には特に多く存在し、バックスキン・ガルチ、ザ・ナローズなど有名です。アメリカ以外の国だと、ヨルダンのペトラ遺跡、オーストラリアのカリジニ国立公園、パーヌルル国立公園、エジプトのカラーキャニオンなどが挙げられます。
その中にあっても、アンテロープキャニオンの美しさは、異質だと言います。
岩を形作る流線はどこまでも滑らかです。砂混じりの水が峡谷に繰り返し押し寄せ、その砂がやすりのように岩を磨き上げることで、このような曲線が生まれたといいます。
そして、岩は見事なまでに均一な黄土色です。ほかの色がないのは言うまでもなく、黄土色の濃淡すらほとんどないように感じます。混じり気が少ないナバホ砂岩からできているのが理由だと言います。
柔らかすぎるフォルムと、単一な色の世界。これくらい不自然な感じがする自然地形は、なかなか例がないのではないでしょうか。驚くほかありません。グランドキャニオンを訪れるなら、間違いなくセットで見るべき場所だと感じました。
ガイドの声が聞こえない
ツアーに参加するにあたって、もしガイドの説明を聞きたいということなら、なるべくガイドから離れないように歩いた方がいいでしょう。峡谷内は幅が狭く、横に広がることができません。どうしても列は縦に長くなってしまいます。
しかし、ガイドはマイクを使わずにしゃべります。そして後ろの方にいる人が今どこにいるかには、あまり注意を払っていないようで、ガイドは説明ポイントに着いたら、参加者が周囲にそれほどいなくても、話し始めました。
加えて、われわれのガイドに関して言えば、とても穏やかで、理性的な雰囲気の青年でしたが、声は小さめでした。少しでも離れていると、あまり聞こえなかったはずです。
もちろん、ガイドによって声の大小はあるでしょうから、常にそういう状況になるとは限りません。
ただ、ここでガイドをするにあたって、地形的な制約があるのも確かです。英語の説明であってもきちんと聞きたいという方は、ぜひ頑張ってガイドをマークして付いていきましょう。
ホースシューベントへ
では、バスに戻って、次の目的地であるホースシューベンドに向かいます。アンテロープキャニオンからは、そう遠くありません。
17:00 アンテロープキャニオンから30分足らずで到着しました。駐車場はこのような感じです。

場所はこちらです。ロウアーアンテロープキャニオンから直線で9kmほどの距離になります。
駐車場から、このような砂と小石の道を進みます。少し距離があって、10~15分ほど歩かねばなりません。

乾燥した大地で周囲に何も目に入りませんが、道がちゃんとしているので、迷うことはありません。

想像を超えるスケール感
着きました。これがホースシューベンドです。ホースシューベントに続いて、これまた、ぶったまげました。写真と全く違います。思っていたより、スケールが大きかったです。

こちらの展望ポイントから川底まで、およそ300mあります。100~200mくらいのものなのかと何となく思っていただけに、想像以上でした。川はここで文字通り、馬蹄のごとく、ぐにゃっと曲がって円形のような流路になっています。円形部分の直径をグーグルマップで測ってみると、1kmくらいありました。
とにかく、怖いです。写真左手には柵がありますが、右手の方を見てもらったら分かる通り、囲いがありません。すべて自己責任です。日本で言うところの東尋坊と同じです。端のほうまで行って座っているつわものが何人かいましたが、高所恐怖症の私からすると、考えられません。無理すぎます。見ているだけで足がすくみました。


ここで体感する岩場の大きさは、グランドキャニオンのそれとは別種のものです。グランドキャニオンは、どこまでも連なる渓谷が視界全体に入ってきましたが、あまりにも広大すぎて、現実からかけ離れたような景観でした。ただただ壮観です。対して、ホースシューベントは、コロラド川によって削り出された造形美が、まさに自分の目の前に広がります。人によっては恐怖感を伴うことでしょう。

繰り返しですが、私は怖かったです。柵がない部分は、崖の方へ出られませんでした。でも、この恐怖感は来ないと味わえません。グランドキャニオンとセットでツアーに組み込まれている理由が、よく分かりました。とても素晴らしかったです。

ツアー参加者に与えられた時間は、40分ほどだったでしょうか。そこそこ長いように感じますが、駐車場からホースシューベントまで少し歩くので、実際のところ、それほど長く峡谷にとどまって見ていられるわけではありません。でも、鑑賞スポットはここだけなので、手早く写真を撮ってしまえば、それで十分かと思います。
ホースシューベントは多くの観光客が集まるスポットですが、ショップはありません。飲み物を売っているようなスタンドも見かけませんでした。
パウエル湖へ
さて、ホースシューベントを出ると、最後の目的地であるパウエル湖に向かいます。
ツアースポットとして入っていますが、おまけのような扱いです。ここに寄らないツアー会社もあるようです。
双璧の人造湖
18:00 パウエル湖に到着しました。コロラド川に設けられたグレンキャニオンダムによって生まれた人造湖です。グランドキャニオンに向かう際に通り過ぎたミード湖が貯水量で全米1位、面積で2位でしたが、こちらのパウエル湖は、貯水量が全米2位、面積が1位となります。まさにミード湖とともに、アメリカを代表する人造湖と言っていい存在です。

場所はこちらです。ホースシューベントから直線で6kmほどです。
展望スペースから見える光景は、「平原+部分的に湖」といった感じです。地形が平坦なうえに、複雑に入り組んだ形をしているので、巨大な人造湖といえども、目に入るのはごく一部です。

展望ポイントからグレンキャニオンダムを望むことができます。

滞在時間は10~15分ほどでした。感動するような景観があるわけではないですが、話のネタとして訪れるのは悪くないでしょう。ホースシューベントから近くて、さほど時間を要するわけでもありません。ここがツアーに組み込まれているのは良いことではないかと感じました。
あとは帰るのみ
18:20 目的地は全て訪れました。パウエル湖を出発し、ここから長い帰路になります。でも、疲れもあるので、寝ていたら、案外早く時間は過ぎていくものです。
休憩ポイントで夜食購入?
20:40 最後の休憩ポイントに到着です。

店内です。

サンドイッチ系の軽食も売っています。買って食べている方もいました。お腹が空いている人、ラスベガスに着いて深夜に食事をしたくない人、そして手持ちの食料が何もない人は、ここで何かを買うしかないでしょう。

ラスベガスに戻ってきた
23:00 ラスベガスに戻ってきました。乗った場所で降ろしてもらえます。われわれはベラージオの地下ツアーロビーです。

出発時は真っ暗、帰って来た時も真っ暗。ネバダ州、アリゾナ州、ユタ州の3州を巡るおよそ18時間の長いツアーでした。

とにかく移動、移動、移動のツアーでしたが、しんどいとはあまり感じませんでした。車内ではかなり眠ることができましたし、車窓から眺める荒野や砂漠は、見ていて飽きることがありませんでしたし、何より訪れたスポットがどれも素晴らしくて、感動と興奮があったのも大きいと思います。
時間に余裕がある旅をできるなら、自分でレンタカーを借りて、グランドキャニオンの展望台をいくつも訪れて、グランドキャニオンの周辺で1泊するということも考えたかもしれません。ただ、そこまでのんびりできないのが現実でして、長距離を運転する肉体的な負担も考えました。そんなわけで、ツアー会社や個人旅行の業者を探して頼るのは、われわれにとっては自然なことでした。
ガイドさん自身が「弾丸」と表現するツアーでしたが、とくに不満な点はなく、満足いく時間を過ごせました。グランドキャニオン周辺を巡るツアーにおいて、主催する会社によって回る順番や細かなサービスは違うかもしれませんが、大枠としてはそれほど大差はないのではないかと思われます。タイパ、コスパが叫ばれる時代にマッチしているツアーであるような気がします。


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